いらないものも、誰かにとっては宝物。残っているもの全部100円で「空き家まるごとフリマ」を開催!

2026年2月最後の土曜日。南相馬市小高区のある空き家からは、人が溢れ出るほどの行列。
並ぶ人々の目的は、ミライエが開催した「空き家まるごとフリマ」。名前のとおり、空き家を会場に、その家に残されたものをフリーマーケット形式で販売するというイベントです。
「20人ぐらい来てくれたらいいかなと思っていたのに、蓋を開けてみれば開場前から待ってくださる人もいてビックリ。150組以上、300名ほどが来てくれました」
そう語るのは、イベントを企画・立案し、当日運営の中心を担った吉田真由美さん。想像以上の手応えを感じたという吉田さんに、企画のきっかけや当日の様子、イベントを通して改めて気づいたことなどを聞きました。

「まだ使えるのに、もったいない」
南相馬市の空き家・空き地バンクの運営を担っているミライエ。吉田さんは空き家・空き地バンクへ掲載する家の写真の撮影を担当しています。
空き家をめぐる中でたくさんのものが放置されている様子を、吉田さんはこれまで何度も目の当たりにしてきました。


空き家バンクに登録する際、家の中が片付いていた方が売れやすい傾向があります。そのため、家主さんは残置物(※)の処分を希望するケースも多いです。ミライエでは、依頼があれば処分にかかる見積りをとり、残置物処分の手助けをしてきました。
しかしその度、吉田さんは「まだ使えるのに、もったいない」と感じていたと話します。
※残置物・・・・・・家の持ち主が自分の荷物を片付けないでそのまま残している家具や家電、日用品などの物

吉田さん「タンスを開ければ綺麗なお着物がでてきたり、大切に扱われていたんだろうなと分かる食器が一揃いででてきたり。このまま捨てられるぐらいなら私が持って帰りたいと思うぐらい素敵なものが、たくさんでてくるんです。
でも、空き家からものを持ち出すことは禁止行為。まだ使えるからと私たちが判断し、リサイクルショップなどへ売ることもできません。捨てられるのを見ていることしかできなくて、『もったいない』とため息をつくばかりでした」
著名ファッションデザイナーの師匠の家
そうした日々の中で、ある空き家と出会います。すでに亡くなってしまったものの、著名なファッションデザイナーの師匠であり、フランス・パリの支局長を務めた女性が住んでいた半吹き抜けの平屋です。家の中は足の踏み場もないほどのもので溢れかえっていました。
吉田さん「空き家が散らかっているのはよくあることですが、残っているものが少し特別だったんです。彼女の職業柄だと思うのですが、当時で5万円ほどする写真集やデッサンの原画、海外のお土産品や写真もたくさんありました。とにかくすごい量で」



現在の家主である親族は、とにかく家を手放すことを希望していたそうです。しかし、あまりの物量に、売る選択肢をとるためには最低限の片付けが必要だとミライエでは判断をしました。
ものの貴重さや物量の多さを目の当たりにしていた吉田さんは「今回こそ、ただ捨てるのはもったいない」という想い、また空き家の利活用に興味関心を持ってもらうきっかけの一つとして、ミライエで初めてフリーマーケット開催にいたりました。
ものの価値は十人十色
フリーマーケットのルールはとてもシンプル。家の中にあるものはすべて100円、なんでも持って行ってOKという内容でした。
季節は冬。20名ぐらい来たらいい方だと考えていた吉田さんたちですが、途中からカウントできないほど人が溢れる結果に。会場前から家に行列ができ、県外からこのフリーマーケットをめがけて来た人もいて驚いたと振り返ります。

みなさんは一体、何を目当てにいらしたのでしょうか?
吉田さん「私たちも未だに分からないんです(笑)広報はチラシや新聞、Instagramで行ったんですが、掲載したダイヤル式電話やレトロな器などがよかったのかな。参加者の中には類似イベントに慣れている、空き家フリママスターのような人もいました。

家主さんはあまり期待していなかったのですが、竹カゴや器、グラスは人気でほぼ完売。カウンター椅子や一枚扉など、大型品も売れていきました。ミシンや屏風、それから風見鶏まで、思いがけないものがどんどん旅立っていくのが面白かったですね。
使いかけの色鉛筆ですら愛おしく思ってくれるというか。デザイナーさんのものなので、ものすごく大きいたくさんの色鉛筆セットを小学生の子が見つけて、ほしいって。こんなの見たことないって、お母さんにせがむんです。現代のものじゃないことにも惹かれたのかもしれません。
買う人は新しいものの使い方を見つけるんですよ。調理道具のザルを植木鉢として使うなど、その発想に拍手する気持ちでした」


吉田さん「遠方からだけでなく、地元の人も多かったですよ。いいブランドのブローチを見つけたら『友達に自慢するの』と言って帰った方がいて、その方の口コミでまた人が来てくれることも。たくさんの方に家を見てもらうきっかけにもなりました。
目利きのお客様も多くて、『これ、高く売れるの知ってた!?』なんて教えてくれるんです。100円じゃ申し訳ないからと、余分にお支払いしてくださる方もいました。反対に、コード30本まとめて100円でなどと交渉する方もいました。値付けのやり取りは楽しかったです。
見る人が見れば、ゴミじゃないんだとしみじみ感じました」
《お客様の購入品と感想コメント》
①アンプとスピーカー


自宅で使うアンプとスピーカーを購入しました。貴重なものが捨てられることなく、使わせていただける喜びを感じます。私も家を中古で購入した時、本当にたくさんのものが溢れ返っていて大変だったので、こうした形で役立てたのも良かったです。
②オブジェ

この写真に写っているものは、全て頂き物です。空き家フリマでは、丸で囲んだオブジェを購入させていただきました。これまでの経験から、私は「人はいなくなっても物は残る」と信じています。物をお譲りしてくれた人たちが生きた証を、自分が営む場に宿し続けています。まるで小さな街の博物館のようです。
③グラス

もともとは飲み物を飲むためのものですが、見つけた瞬間「家にあるサボテンのためのグラスだ!」と思い、購入しました。本来の使い方でなくても、使い方次第で長く楽しめるものがある。空き家フリマを通して、そんなことを学びました。
ものを大事にする文化を空き家から育む
吉田さんの体感として、家の中のモノは50分の1程度になったそうです。フリーマーケットには古物鑑定士も参加しており、後日改めて買い付けも行われました。
そのかいあって、イベント全体の売上は数十万円と結果上々。家主さんは片付けが進み、手元にお金も残り大変喜ばれたそうです。
吉田さん「空き家にあるものが古いのは当然多いのですが、昔のものは丈夫で、一つひとつが大事に使われてきたのが分かるんですよね。高価だったろうし、本当にほしいものだけが買われている。今は100円ショップでなんでも買えて便利だけど、すぐ壊れるし、簡単に手に入るから大事にしないなあって。ものの循環について考えさせられました」
そうは言っても、もったいないけど捨てちゃうのが現実だなって。私もそうです。だからこそ、空き家まるごとフリマのような取り組みを今後も地域でやっていきたいです。
ものを大事に使ったり、使わなくなったら必要とする人に譲ったりする文化が広がったらいいなと思います」

(聞き手・執筆 蒔田志保)
2026年9月13日、ミニ空き家フリマ開催!
ミライエではすでに次の企画も動き出しています。2026年9月13日には、複数の空き家から集めてきた物品を再びフリーマーケット形式で販売予定。今回は原町区にあるイオンスーパーセンターで開催される不動産フェアの一角に、ミライエとして出店します。

フリマだけでなく、住まいに関するお悩みを幅広く受け付けております。ミライエ以外に楽しんでいただけるブースもありますので、お気軽にお立ち寄りいただけたら嬉しいです!
また、ミライエ事務所や指定管理を行っている「小高交流センター」のカウンターにて、瀬戸物などの器を常設展示・販売することも計画中です。Instagramなどで最新情報を発信していくので、そちらもチェックしてみてくださいね!
Instagram:@miraie.minamisoma



